○坂祝町こどもの権利に関する条例

令和7年3月17日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第3条)

第2章 こどもにとって大切な権利(第4条~第8条)

第3章 こどもの権利を保障する大人の責務(第9条~第13条)

第4章 こどもに関する施策の推進(第14条~第20条)

第5章 雑則(第21条)

附則

こどもは、生まれながらにして一人ひとりがかけがえのない存在です。

こどもは、生まれたときから学び育つ力を持ち、未来への可能性が開かれています。

こどもは、周りの人に大切にされ、愛され、信頼されることによって、自分に自信を持ち、安心して健やかに育つことができます。

こどもは、こどもの持つ権利が保障される中で、その権利を正しく学び、自分の意思を自由に表明し、自分にかかわることに参加することができます。

こどもは、自分の意思が誠実に受け止められることで、自分が大切にされていることを実感するとともに、自分と同じように他の者を大切にすることを学び、互いの権利を尊重し合う心を身につけることができます。

こどもは、こうした経験を通して規範意識を育み、社会の一員として、様々な責任を果たすことができる大人へと成長していきます。

すべてのこどもが、その持てる力を発揮し、次代を担う存在になっていくことがすべての町民の願いであり、このため、すべての大人は、こどもの成長する力を認め、こどもと向き合いながらこどもの意思を誠実に受け止め、こどもの未来の視点に立ってともに考え、こどもの育ちを支えていく責任があります。

また、大人は互いに連携し、それぞれの役割を認識し、こどもが健やかに育つための環境を整えるとともに、大人はこどもの模範であることを自覚し、行動し、こどもから信頼される存在にならなければなりません。

こうした考えのもと、私たちは、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)の理念に基づき、こどもにとって大切な権利を保障し、こどもの最善の利益を考慮しながらこどもの健やかな育ちを支援し、未来をつくるこどものしあわせなまちの実現を図るため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、こどもにとって大切な権利を明らかにするとともに、こどもを取り巻くすべての人及び団体の責務等を定めることにより、こどもの権利を保障し、こどもの心身の健やかな育ちを社会全体で支援するまちの実現を目指すことを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるとおりとします。

(1) こども 町民をはじめとする町に関係のある18歳未満の者その他これらの者と等しく権利を認めることがふさわしい者をいいます。

(2) 保護者 親及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める里親その他親に代わりこどもを養育する者をいいます。

(3) 育ち・学ぶ施設 児童福祉法に定める児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に定める学校その他こどもが育ち、学ぶために通学し、通園し、通所し、又は入所する施設をいいます。

(4) 地域住民等 地域の住民及び団体をいいます。

(5) 事業者 町内に事務所又は事業所を有し、事業活動を行う個人、法人その他の団体をいいます。

(責務)

第3条 保護者、育ち・学ぶ施設の設置者、管理者及び職員(以下「施設関係者」という。)、地域住民等、事業者並びに町は、こどもにとって最善の利益を考慮し、こどもの権利の保障に努めるとともに、互いに協力してこどもの育ちを支え合わなければなりません。

第2章 こどもにとって大切な権利

(こどもにとって大切な権利)

第4条 この章に定める権利は、こどもが健やかに育つために、特に大切なものとして保障されなければなりません。

2 こどもは、その年齢及び発達に応じ、社会の責任ある一員であることを自覚するとともに、自分の権利が尊重されることと同様に他の者の権利を尊重しなければなりません。

(安心して生きる権利)

第5条 こどもは、安心して生きるため、次に掲げる権利が保障されなければなりません。

(1) 命が守られ、安全な環境のもとで暮らせること。

(2) かけがえのない存在として、愛情及び理解をもって育まれること。

(3) 健康に配慮されるとともに、適切な医療が受けられること。

(4) あらゆる虐待、暴力及び犯罪から守られること。

(5) あらゆる差別及び不当な扱いを受けないこと。

(自分らしく生きる権利)

第6条 こどもは、自分らしく生きるため、次に掲げる権利が保障されなければなりません。

(1) かけがえのない自分を大切にすること。

(2) 個性や他の者との違いが認められ、人格が尊重されること。

(3) 自分の考えを持ち、表現することができること。

(4) プライバシー及び名誉が守られること。

(豊かに育つ権利)

第7条 こどもは、様々な経験を通して豊かに育つため、次に掲げる権利が保障されなければなりません。

(1) 学び、遊び、及び休息することにより、のびのびと育つこと。

(2) 様々な自然、文化、芸術、スポーツ等に触れ親しむこと。

(3) 成長に必要な情報の提供が受けられること。

(4) 年齢及び発達に応じて、適切な支援、助言等が受けられること。

(主体的に参加する権利)

第8条 こどもは、自分にかかわることに主体的に参加するため、次に掲げる権利が保障されなければなりません。

(1) 自分の意見を表明する機会が与えられること。

(2) 表明した意見が、年齢及び発達に応じて、その真意をくまれ、適切な配慮がなされること。

(3) 参加に必要な情報の提供その他必要な支援が受けられること。

(4) 仲間をつくり、仲間と集い、社会に参加すること。

第3章 こどもの権利を保障する大人の責務

(保護者の責務)

第9条 保護者は、こどもの養育及び発達に関する第一義的な責任者であることを認識し、その養育するこどもの年齢及び発達に応じた適切な指導、助言等の支援を行わなければなりません。

2 保護者は、こどもの気持ちを受け止め、それに応えていくとともに、こどもと十分に話し合わなければなりません。

3 保護者は、その養育するこどもに対して、虐待及び体罰を行ってはなりません。

(育ち・学ぶ施設の役割)

第10条 施設関係者は、育ち・学ぶ施設がこどもの豊かな人間性と多様な能力を育むために重要な役割を果たすことを認識し、こどもの年齢及び発達に応じ、こどもが主体的に育ち、学ぶことができるよう、必要な支援に努めなければなりません。

2 施設関係者は、虐待、体罰及びいじめ等からこどもを守るため、関係機関と連携し、その防止、相談、救済及び回復に努めなければなりません。

3 育ち・学ぶ施設の設置者及び管理者は、その職員に対し、研修の機会を設けるなど必要な支援に努めなければなりません。

(地域住民等の役割)

第11条 地域住民等は、こどもの豊かな人間性が地域の人、自然、社会及び文化とのかかわりの中で育まれることを認識し、こどもの健やかな育ちを支援するよう努めなければなりません。

2 地域住民等は、あらゆる虐待、暴力及び犯罪からこどもを守るため、安全で安心な地域づくりに努めなければなりません。

3 地域住民等は、こどもが地域社会の一員であることを認識し、こどもの年齢及び発達に応じ、地域活動に主体的に参画できるよう努めなければなりません。

(事業者の役割)

第12条 事業者は、その事業活動を行う中で、こどもの健やかな育ちを支援するため、こどもの社会的自立に向けた就労支援、キャリア教育等に配慮するよう努めなければなりません。

2 事業者は、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の視点から、こどもを養育する従業員が仕事と子育てを両立することができるよう、職場の環境づくりに努めなければなりません。

3 事業者は、仕事と子育てを両立できる働き方に関して、従業員の意識の向上を図るとともに、従業員に対して、こども及びこどもを養育する家庭(以下「子育て家庭」という。)を支援する取組への参加又は協力を促すよう努めなければなりません。

(町の責務)

第13条 町は、こどもの権利を保障するため、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携し、及び協働するとともに、こどもに関する施策を実施しなければなりません。

2 町は、保護者、施設関係者、地域住民等及び事業者がそれぞれの役割等を果たすことができるよう、必要な支援に努めなければなりません。

3 町は、こどもに関する施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければなりません。

第4章 こどもに関する施策の推進

(施策の推進)

第14条 町は、こどもの権利の保障に資するため、次に掲げる事項に配慮し、こどもに関する施策を推進しなければなりません。

(1) こどもの最善の利益に基づくものであること。

(2) 福祉、保健、教育その他の分野において、連携及び調整が図られた総合的かつ計画的なものであること。

(3) 保護者、施設関係者、地域住民等及び事業者との連携を通して、一人ひとりのこどもを支援するものであること。

(こどもの育ちの支援)

第15条 町は、こどもの健やかな育ちを支援するため、保護者、施設関係者、地域住民等及び事業者と連携し、及び協働し、次に掲げる施策を実施します。

(1) こどもが安全に安心して過ごすことができるための環境づくり

(2) こどもが自然及び地域社会とのかかわりの中で豊かに育つことができるための遊び及び体験の場づくり

(3) こどもが社会とのかかわりの中で、他の者と共生し、社会の責任ある一員として自立していくために必要な支援

(子育て家庭の支援)

第16条 町は、保護者がこどもの養育及び発達に関する第一義的な責任を果たすことによりこどもが安心して生活することができるよう、保護者、施設関係者、地域住民等及び事業者と連携し、及び協働し、子育て家庭を支援するネットワークづくりを進めるなど、子育て家庭の支援を行います。

(こどもの参画の促進)

第17条 町は、町政について、主体的にこどもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。

2 育ち・学ぶ施設の設置者及び管理者は、施設の行事、運営等について、主体的にこどもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。

3 地域住民等及び事業者は、地域の文化、スポーツ活動等行事の運営等について、主体的にこどもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。

(こどもの権利の普及)

第18条 町は、こどもの権利に関する町民の理解を深め、関心を高めるための広報活動を行います。

2 町は、家庭、育ち・学ぶ施設、地域等において、こどもの権利に関する教育、学習等が行われるよう、必要な支援に努めるものとします。

(虐待、体罰、いじめ等からの救済等)

第19条 町は、関係機関と連携し、こどもの虐待、体罰、いじめ等の防止、相談、救済及び回復のために必要な措置を講じなければなりません。

(調査研究)

第20条 町は、こどもの権利の保障及びこどもに関する施策の推進に関し、必要に応じて、調査及び研究を行います。

第5章 雑則

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長その他の執行機関が定めます。

この条例は、令和7年4月1日から施行する。

坂祝町こどもの権利に関する条例

令和7年3月17日 条例第11号

(令和7年4月1日施行)